稽古場ルポvol.4|青春と舞台は花火に似たり

soccer0598 ケーキを海底のポストへ投函 公演ルポ

5月、公演まで1ヶ月を切り稽古にもよりいっそう熱が入る。
2年ぶりに旅行規制がないゴールウィークということで、世間にはのんびりした空気が漂うが、我々は稽古場に熱く籠もる日々が続く。チケットの販売も開始されたので、稽古にも気合いが入る。

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稽古中の風景

4月は日常シーンの稽古が多かった。
物語の下地としてそれまで選手たちが試合に向けてどのように過ごしてきたかを丁寧に描くからこそ、その後の試合の熱さが際だつのだ。
そして、5月になると稽古の中心は試合のシーンになっていった。
初夏の気温も相まって、役者たちが汗をかきながら稽古に臨む日々が続く。

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稽古中の小夜子(小島役)と和泉涼太(海音寺役)

前回の『新人サッカー部員のロングシュート』(以降『新人サッカー』)では4人で45分ハーフのサッカーの試合を演じたので、基本のエース役、キャプテン役、監督役、マネージャー役以外にも味方チームの他の選手やキーパー、相手チームの選手や監督、審判までも4人で演じた。そのお陰で、舞台袖ではいかに着替えるかの勝負で常にドタバタしていた記憶がある。筆者は前回の『新人サッカー』にも出演したが、記憶にあるだけでマネージャー、味方キーパー、相手キーパー、相手監督と5役くらい立ち回った。
今回も試合場面は白熱したものになりそうな予感が稽古中からもしている。

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前回の『新人サッカー部員~』の公演風景

稽古では出捌けの細かいタイミング、立ち位置等確認することは沢山ある。
いつも演じている作品も出捌け、タイミング、立ち位置が重要であることは間違いない。
しかし、今回の作品、特にサッカーの試合のシーンではそれがより顕著に感じられる。
この作品は瞬間の火力が高い作品だと思っている。
その瞬間瞬間に役者が見せる高い火力の積み重ねで、テレビでも見るあのサッカーの試合の熱さを表現しようとしているように感じられる。
だからこそ一瞬の火力をどのように見せるのが効果的なのか、演出も役者も試行錯誤する日々が続く。

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稽古中の美雪(奈央役)と末包愛(愛美役)

計算して配置した炎の瞬間の美しさを積み重ねていく、それはまるで打ち上げ花火のようだ。青春の一瞬の眩しさ、美しさ、そして儚さを打ち上げ花火に投影する作品は多数ある。
しかし、この作品は一瞬の積み重ねで青春の輝き、打ち上げ花火を形作るのだ。

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稽古中の美雪(奈央役)と藤咲優希(未来役)

打ち上げ花火は風の影響で必ずしも正面から見えるとは限らない。横向きや、予想だにしなかった方向に打ち上がってしまうこともままある。
舞台でよく言う「本番の魔物」のようなことを考えると、その危うさも舞台は花火に似ているのかも知れない。


青春と舞台は花火に似たり
BANANASHOOTER稽古場ルポNo.04

2022年5月6日

文:甘味屋 餡子 (役者)https://twitter.com/raincloud_017
写真:森 弘 (役者)https://twitter.com/jm1jer
   小夜子(役者)https://twitter.com/sayokomBoo


【※この記事はケーキを海底のポストへ投函noteより2022年5月の投稿を転載したものです。】

【公演概要】

ケーキを海底のポストへ投函 vol.4『BANANA SHOOTER』
作・演出=堀伸也
日時:
2022年5月28日(土)
14:00〜 / 18:00〜
2022年5月29日(日) 
13:00〜/ 16:00〜
(いずれも開場は開演時間30分前)
会場:
神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI(多目的プラザ)
(最寄:桜木町駅 徒歩8分)
チケット
※全席自由、当日精算のみ
前売・当日 3,000円
高校生 1,000円