公演ルポvol.3|オサカナクワエタドラネコハドッチ?

sanakasakana3-1 ケーキを海底のポストへ投函 公演ルポ

ケーキ投函の稽古は基本的にチームごとに行い
出演しないチームが稽古している間は
欠席した人間の代役や裏方作業をやる以外にも
稽古場のすみの方で作品の内容やキャラクターのすり合わせ等をしている風景をよく見る。

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今回の公演で最も大所帯なのが
「独身丸の内OLの強盗未遂」である。
劇団Q+結成初期からのメンバーである美里菜々、
個性的な佇まいのヒデ
声の張りと動きが特徴的な芝居をするRiku、
前回に続き客演として出演する小夜子、
今回が初舞台となる最年少のねん、
とバラエティ豊かだ。

「独身丸の内OLの強盗未遂」あらすじ – Instagram

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これまでケーキ投函というのは複数の作家が物語を描き
それぞれの個性が際立つ作品が多かった。
SFだったりファンタジーだったり現代の青春ものだったりとジャンルもバラバラ。
今回の公演では堀伸也が一人で3作品を描いたが、
その中でも最もチャレンジャブルなのがこの「独身丸の内OLの強盗未遂」だろう。
先週記事で触れた「残念イケメン芸人マネージャーの天下統一」が
これまでの堀の特有のスタイルである語感やテンポ重視の作品であるのに対し
「独身丸の内OLの強盗未遂」ではテンポや語感を残しつつ
どちらかと言えば人間同士のやり取りを重点に置いている作品だ。

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役者たちはそれを踏まえた上で、これまで以上に細かく
登場人物たちの人間関係や過ごしてきた日々のこと、
この物語の舞台となる部屋の作りや雰囲気を話し合って共有し形作ってる。
稽古場では無論芝居の動きやセリフのやり取りもしているが
場や登場人物の共有に多くの時間を割いているのをよく見る。

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歌い出しがサカナで始まる歌といえば、一番有名なのが
「お魚くわえたドラ猫」で始まる某国民的アニメの主題歌だろう。
稽古風景を「魚を……とするとドラ猫と元の魚の主は……」
などと考えながら見ている。
ドラ猫と元の魚の主。
一見すると……なのだが、実は逆かもしれない。
人間関係は視点の主によって大きく変わる。
どこにでも居そうな5人が織りなす物語だからこそ
誰の視点に立つかでドラ猫は変わってくる。
観劇した皆様がどの人物の視点に立つのか
それもまた役者が作ったリアルな芝居とキャラクターの賜物なのだ。


オサカナクワエタドラネコハドッチ?

2020年12月1日

文:甘味屋 餡子 (役者)

絵:佐藤 奈都子 (役者)


【公演概要】

ケーキを海底のポストへ投函
第3回公演『サカナ!サカナ!』

2020/12/12(土)
14:30/18:30
2020/12/13(日)
14:30
(開演60分前受付開始、開演30分前開場)

場所:大森スポーツセンター小ホール(平和島駅徒歩6分)