公演ルポvol.2|フタリデツクルセイタイケイ

sanakasakana2-1 ケーキを海底のポストへ投函 公演ルポ

地区センターのラウンジで作業をしていると声が聞こえる。
声が聞こえるのはケーキ投函の稽古をしている会議室からだ。

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ケーキ投函の稽古の多くは地区センターの会議室で行われる。
もっとも、多くの地区センターは体育館を併設しているので
体育館でバスケットボールをドリブルする音などが響いていたり
合奏練習している部屋から漏れ聞こえてくる音楽もあるので
基本的の多少の声漏れは「おたがいさま」の範疇だ。
(併設施設が図書館だと多少勝手が変わるが)

ケーキ投函の稽古中は基本的に1時間に10分程度の休憩を兼ねた換気時間を設けているが
(地区センターによって対応は多少異なるが)自主的な対策以外に
施設の対策として常時小窓を開けることを義務付けているところも少なくない。
声がいつも以上に鮮明に聞こえるのは、開いている小窓のせいだろう。

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響く声の主はジョニー。
ケーキ投函初出演で「残念イケメン芸人マネージャーの天下統一」という演目に出演する。
この演目の出演は2人だけで、相方は美雪。
彼女は去年は「エリート水道局員の路線バス追跡」に出演していた。

「残念イケメン芸人マネージャーの天下統一」あらすじ ーInstagram

2人の芝居の長所は全く異なる。
ジョニーの長所はよく響く声だ。
ボリュームも大きく響きがいい。
ただ、響きが良すぎて何言っているか解らなくなることもあるが
それをコントロールできるようになれば彼の大きな武器になるだろう。
美雪の長所は動きのキレの良さだ。
長年のダンス経験から動きのキレの良さは随一だ。
ただ、キレが良すぎてもう少しどん臭くと言われることもあり
それを流石の修正力で対応するが、油断するとキレがいいという不思議現象が発生する。

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この異なる2つの長所と個性が共生する現象は
今回の公演タイトルである「サカナ」の世界でもでもよく見られるものである。
海の生物たちは異なる種族でも互いの長所を補い合うことで共生する
「相利共生」と言われる現象がある。
有名なところではイソギンチャクとクマノミである。
クマノミはイソギンチャクの中に隠れ住むことで強敵から身を守り
イソギンチャクはクマノミから栄養をもらい繁殖力を強める。

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どちらかがイソギンチャクでどちらがクマノミになるかは解らないが
2人の長所がどのように掛け合わさり舞台上を満たすのか
2人で造る「残念イケメン芸人マネージャーの天下統一」がどのような生態を造り上げるのか
今から心待ちにしている。


フタリデツクルセイタイケイ

2020年11月24日

文:甘味屋 餡子 (役者)

絵:佐藤 奈都子 (役者)
  いらすとや


【公演概要】

ケーキを海底のポストへ投函
第3回公演『サカナ!サカナ!』

2020/12/12(土)
14:30/18:30
2020/12/13(日)
14:30
(開演60分前受付開始、開演30分前開場)

場所:大森スポーツセンター小ホール(平和島駅徒歩6分)

価格:2,000円